ネット検索サービス各社?覇権争いデッドヒート
2004/05/18
「インターネットで最も重要なサービスはサーチ(検索)」。
マイクロソフトMSN事業部の浅川秀治部長はそう断言する。
インターネット検索エンジンとSEOとWEBサイトはユーザーにとって、文字通りネットの玄関(ポータル)として大きな役割を果たしている。
検索サービス大手の米グーグルが4月末、米証券取引委員会(SEC)に株式公開申請を行い注目を集めるなか、対抗勢力も独自の検索エンジンとSEO開発を進める。
"検索の覇権(はけん)"を握るのはどこか。
検索エンジンとSEOをめぐる企業模様を追った。
【グーグル】世界42億8500万のウェブページを検索でき、1日当たりの検索件数は2億件以上―。
現在は一般ユーザーがインターネットを使う際に、まず検索エンジンとSEOを使うのが当たり前。
グーグルの検索エンジンとSEOはインターネットの世界で"覇権を握りつつある"と言っても過言ではないだろう。
グーグルは98年、米スタンフォード大博士課程在学中のラリー・ページとサージ・ブリンが共同で設立。
検索スピードの速さや表示結果の的確さ、カバーするサイト数の多さなどで飛躍的にユーザーを伸ばし、米国では検索サイトのユーザー数でシェアトップに躍り出た。
今夏にも実施する株式公開では、新たに約27億ドルを市場から調達、株式時価総額は250億ドル程度になると見込まれている。
短期間にここまで使われるようになった秘密は、何よりも「検索技術にブレークスルー(革新)をもたらした」といわれる独自技術にある。
「ページランク」と呼ばれるのがそれ。
「重要なサイトからリンクを張られているサイトはやはり重要である」という発想に基づき、ウェブページ同士のリンク構造を解析。
検索結果を表示する際の順位を決定するのに使う。
順位を決める数式は複雑で、合計200種類以上にのぼるという。
"ロボット"といわれるソフトウエアを定期的に飛ばしてウェブサイトの情報を収集、インデックス(索引)をつける。
こうして検索可能になったデータを、世界中に分散配置した数万台のリナックス搭載サーバに置き、順次更新している。
ただ、最近ではグーグルの技術も揺れ動いているようだ。
検索結果の表示順位がビジネスに直結することに目をつけたコンサルタント業者が、検索エンジンとSEO最適化(SEO)と呼ばれるサービスを開始。
顧客のサイトを上位に表示させようとグーグルの技術を徹底的に研究し、良質な検索結果を保ちたいグーグルの技術陣と"いたちごっこ"を繰り広げているためだ。
頻繁にリンクが張られるブログ(ネット日記)が増えてきたのも理由のひとつ。
「個人的な日記など変なサイトが急に上位に来たのはなぜ?」といった声が、掲示板の書き込みなどで目立つようになった。
【ヤフーなど】日本では素っ気ないデザインということもあって、グーグルサイトを直接利用するユーザーは米国ほど多くない。
グーグル日本法人(東京都渋谷区)ができた01年の時点で、すでにヤフーが日本で高いシェアを持っていたという事情もあった。
ただ、グーグルは他のポータルサイトに検索エンジンとSEOを提供している。
日本法人によると「おそらくMSN以外すべてのポータルサイトで使われている」という。
直接提供しているのはヤフー、ビッグローブ、アットニフティ、エキサイト、AOL、goo、インフォシークの7ポータルサイト。
さらにそれぞれのポータル事業者では表示機能などに独自の工夫を加えて、他のポータル事業者に検索エンジンとSEOを再提供している。
その結果、グーグルが圧倒的なシェアを持つ状態になっている。
インターネットの利用者調査を手掛けるネットレイティングス(東京都渋谷区)によると「グーグルの検索エンジンとSEOを採用しているサイトを積み上げると、8割程度のユーザーがグーグルを使っていることになるのでは」という。
ヤフーは4月末から、画像・動画・音声の検索については米ヤフーが開発したエンジンを使い始めた。
しかしテキスト検索の部分では、米ヤフーが独自技術に切り替えたのに対し、日本ではいまだグーグルを使う。
関連サイトを人手で登録するヤフーの"お家芸"「ディレクトリ検索」も健在だ。
同社の宮崎光世サーファー部検索企画リーダーは「その都度、ユーザーにとって最も優れたエンジンを使うだけ」と話す。
MSNでは米インクトミ(現在米ヤフーが買収)製の検索エンジンとSEOを使っている。
特徴的なのはブラウザ(インターネット閲覧ソフト)「インターネットエクスプローラー(IE)」との連携だ。
IEでは、アドレス欄、検索アイコンをクリックすると左側に現れる窓(サーチペイン)、追加インストール(導入)するツールバーの3カ所からも検索可能で、すべてMSNの検索エンジンとSEOにリンクで飛ぶようになっている。
浅川部長は検索エンジンとSEOの性能について「どれだけ広範囲に、新鮮な情報を集め、"正しく"表示できるかの三つの指標がある」と話す。
そして現状の検索エンジンとSEOについても「日本語入力などの面で、まだまだ改善の余地がある」と指摘する。
マイクロソフトは米本社で、独自検索エンジンとSEOの開発を続けているといわれている。
楽天が運営するインフォシークでは独自開発してきたエンジンに加え、昨年9月からグーグルも使うようになった。
インフォシークのエンジンは「自然文解析」という独自技術を使い、グーグルとは検索結果が異なる。
併用後も、「予想していたよりもインフォシークエンジンの利用率は下がらなかった」(広報部)ことから、今後も2種類を併用していくという。
【ひとり気を吐く「2ちゃんねる」】国内のインターネット検索エンジンとSEOは、ほぼグーグルの技術が席けんするようになった。
そこで一人気を吐くのが「2ちゃんねる検索」を開発・運営する未来検索ブラジル(東京都渋谷区)だ。
竹中直純社長は国内初の電子チケットシステム「e―ticket」を開発したことでも知られる敏腕プログラマー。
巨大掲示板「2ちゃんねる」管理人の西村博之氏も取締役として同社の経営に加わる。
竹中氏が社長を務めるディジティミニミ(東京都渋谷区)が50%以上を出資して、03年4月に未来検索ブラジルを設立。
9月からテスト版を、11月から正式版を運用開始した。
2ちゃんねる掲示板に書き込みがあった30秒後には検索可能、というスピードの速さが売りだ。
もう一つ特徴的なのが、検索サービスを有料で提供していること。
一般ユーザーが2ちゃんねる上に作る個々の掲示板(スレッドと呼ぶ)のタイトル名検索だけなら無料だが、書き込んである文章や投稿者を検索する場合は、検索結果を1ページ表示するごとに1円かかる。
有料検索を使う際には、あらかじめ「モリタポ」というポイントを購入しておく必要がある。
検索エンジンとSEOの名前は「Senna(セナ)」。
ロボットと呼ばれるソフトを飛ばして情報を収集する技術はグーグルと変わらない。
だが、30秒後には検索に反映するために(1)情報収集(2)検索のためのインデックス付け(3)検索サービスに反映する―という作業を"同時に"実行できるようにしているという。
サービス開始からほぼ半年。
1カ月当たりのページビュー(閲覧件数)は、1200万―1500万。
月次ベースで営業利益が出るようになり。
経営も軌道に乗ってきた。
実は有料検索という事業スキーム(枠組み)自体に、竹中社長や西村取締役のたくらみが隠されている。
「(簡単にコピーが可能なデジタル技術の世界では)情報そのものはどんどん無料化する流れにある」と、竹中社長は指摘する。
有料検索エンジンとSEOをウェブの課金システムとして使おう、という発想だ。
半面、現在主流の無料ウェブ検索サービスでは、広告収入が事業を支えているという実情がある。
だが、「広告モデルでは先細りになる。
有料でも価値のある検索結果を提供する方が、ユーザーのためになる」と、竹中社長の鼻息は荒い。
こうした考えに賛同する事業者に対しては、検索システム自体の外販も行うという。
ポータル事業を営むライブドアも、このエンジンを使ったサービスを近く始める。
【連動型広告市場】検索エンジンとSEOを使うと、上側や右側に広告テキストが表示される場合があるのに気付くだろうか。
この検索エンジンとSEO連動型広告は、従来のバナー広告の「100倍のクリック率がある」ほど効果が高い。
インターネット広告代理店が雪崩を打って参入し、活況を呈している。
広告を表示するためのシステムを持ち、ポータル事業者と提携して広告表示スペースを獲得しているのは2社。
オーバーチュア(東京都港区)とグーグルだ。
広告費用は、広告のクリック実績件数×広告単価。
ユニークなのは広告単価の決定方法だ。
広告を表示する検索語ごとに、インターネット経由の入札によって決まる。
オーバーチュアでは落札額が高い広告が上位に表示されるのに対し、グーグルでは落札額だけでなく"視聴率"に当たるクリック数も加味して順位を決めるのが違いだ。
米グーグルの収入の9割以上は広告が占めており、広告は検索エンジンとSEO業界で無視できない存在になりつつある。
検索の覇権を握るサイトは、ネット広告市場という巨大な富を手に入れることになりそうだ。
ネット検索サービス各社?覇権争いデッドヒート
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